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農業が自然環境を汚してしまう一番の原因というのは、まいた肥料のうち、作物が吸収しきれずに土中に残ってしまった肥料分が地下水に流出してしまうことです。
これはたとえ化学肥料をやめて有機栽培にしたとしても防ぐことはできません。防ぐためには、放っておいたら地下に流出してしまう肥料分をなんとかして地上にとどめておかなければなりません。
そこで私たちは米の収穫が終わった後、田んぼに牧草の種をまいて育てます。この牧草は残っていた肥料を吸い上げて成長し、翌春まで体内にとどめておいてくれます。そして翌年の米作りの時に一緒に耕して土と混ぜることによって、体内にあった栄養分が再利用されるため、肥料分を無駄
にしないで循環させながら豊かな土を作ることができます。
ちなみに冬の田んぼの風景を見ると、普通は土が見えているため茶色なのですが、うちの田んぼだけは牧草が育っているため緑色です。このことは緑地を増やしていることになるのでCO2の吸収にも役立ち、さらなる環境への対応の可能性も含んでいると考えています。
牧草が育ってきました。冬でも田んぼは緑です。
米本来の美味しさを引き出すための育て方
肥料も自分で作る理由
イネの育て方の基本は、イネ自体を健康に丈夫にかっこよく育てること、それによって米本来の美味しさを引き出します。
健康なイネを育てるために大事な事は栄養状態がいつも適度なことです。人間と同じで、食べ過ぎでも飢餓状態でも健康的ではありません。
化学肥料のみで作ると、肥料をあげた直後は栄養過多ですが、少したつと水と一緒に流れてしまい栄養不足になりやすくなります。そこで、いつもイネにとって適切な栄養状態を作るために私たちはイネにあげる肥料は米ぬ
かやもみがらを材料にして手作りしています。
この自家製の肥料と冬の間に育てておいた牧草を混ぜ合わせて、イネがいつも適度に栄養が吸えて、健康に育つ環境を作ります。
今年も自家製の肥料作りが始まりました。冬のハウスにて
肥料の材料を合わせて均一にかき混ぜる機械。
うん、今年の肥料もいい感じ。

半年間発酵させた肥料を、牧草田んぼにまきます。

肥料をまいたあとすぐに牧草を田んぼの土に漉き込みます。
田植え前の土作りの総仕上げ。
溝きりで寒暖の差を自分で作ります
「美味しい米は寒暖の差が大きなところでできる」という話を聞いたことがある方も多いかもしれません。米どころとして有名な地域は確かにそういうところが多いようです。
私たちの農場がある茨城県南部は台風も少なく冷害も少ないのでよい米を作りやすい環境は整っているのですが、残念ながら寒暖の差はそれほど激しいところではありません。
そこで美味しくするために自分で寒暖の差を作ります。それが溝きりという作業で、田んぼのイネとイネの間に溝を掘り、水路にする作業です。
田んぼの水をためっぱなしにしないでイネとイネの間の水路に冷たい水を流し続けるようにします。水がたまりっぱなしだと、昼間に温められた水が湯たんぽの状態になって、夜間に外気温が下がってもイネの周りの温度は下がりません。
しかし、水路になって水が流れ続けていればたまった水が温められることがないため、夜間に外気温が下がれば稲の周りの温度も下がります。
こうして溝きりによって水は十分にあるけれども温まることはないという状態を作り出すことによって、有名な米どころに劣らないような寒暖差を作り出し、美味しさをさらに向上させる取り組みをしています。
稲と稲のあいだに溝をきっていきます。
溝きった様子。この溝が、昼夜の寒暖の差をつくります。
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